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ワークショップ・特別講演・シンポジウムの内容
特別講演

9月15日(日)13:50~14:50

「描画とコミュニケーション」 講演者 村瀬 嘉代子 (北翔大学大学院)
司 会 高橋 依子 (大阪樟蔭女子大学)

人は有史以前から「描く」という営みを行ってきた。描画はまことに豊かで深く広い世界を伝えてくれる。心理臨床においても,描画はさまざまに活用されてきた。ここでは描画の本質を確かめ,これまで経験してきたさまざまな臨床領域での経験をもとに,描画がコミュケーションの手立てとしてより効果を高める要因について,技法とそれを用いる人に求められる特質という両面から御一緒に考えたい。

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シンポジウム

9月15日(日)15:00~17:00

「描画に表れる臨床像」 企画・司会 高橋 依子 (大阪樟蔭女子大学)

描画を心理テストとして用いることで,クライエントの臨床像を捉える事が可能となり,心理アセスメントの情報が豊かになる。問題行動や症状の元にあるパーソナリティの特徴とともに,それが意識されているものか否か,また,他者知覚や他者との関係の持ち方なども明らかにできる。さらに描画テストはアセスメントだけではなく,心理療法としても機能する。3人の描画テストのエキスパートに,日頃の臨床での描画テストの用い方を語っていただき,それを元に心の臨床に描画をどのように用いていけばよいかを討論したい。

話題提供

「家族画から見る子どもの心」   寺嶋 繁典 (関西大学)

投影法の一種である描画テストには,無意識水準の内容が表現されやすいと考えられてきた。しかし臨床場面では必ずしもそうでない事例を経験することが少なくない。特に描画抵抗の高い人物画や家族画では,この傾向があらわれやすいようである。シンポジウムではクライエントの意識水準を考慮した描画の解釈について述べる予定である。

「母子画による見立て―関係性のイメージ」   馬場 史津 (中京大学)

母子画は「お母さんと子どもの絵を描いてください」と教示する描画法である。母子画には描き手の重要な他者としての母親像,その母親といかに関わってきたのかという子ども像が描かれると考えられている。そして描かれた母子の関係性は,心理療法におけるセラピストとクライエントの関係性として読みかえることができるかもしれない。シンポジウムでは母子画の概要と母子画を利用した事例の見立てについて紹介したい。

「バウムテストを通した臨床的対話」   岸本 寛史 (高槻赤十字病院)

バウムテストではクライエントのさまざまな臨床像が明らかにはなるが,バウムテストによって病態水準を弁別することには限界があると感じており,バウムテストの治療的側面,特にバウムテストを通した対話に焦点を当てて論じたい。筆者は,バウムを描いてもらうことで,言葉とは異なるコミュニケーションチャンネルが開かれることをしばしば経験した。当日は具体的なケースを示しながら論じていく。

指定討論   山中 康裕 (京都ヘルメス研究所・京都大学名誉教授)
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認定描画療法士研修会(N)・ワ-クショップ(W)

○ 9月14日(土)10:00~12:30

認定描画療法士研修会(N)

N1

 

認定描画療法士研修①
「心理アセスメントの基礎」

松瀬 喜治 (佛教大学)

心理アセスメントとは,観察・検査・面接によって,対象者の病理的な側面と健康的な側面の両方を全体的に臨床像をつくりあげて,問題を捉え直すことである。このような“心理臨床家の見立ては,その後の対象者への関わり(見通し・方策)を産出するもの”という基本的な視点より,目的に応じた心理アセスメントの意義と方法について概説する。

認定描画療法士研修②
「描画による支援の基礎と職業倫理」

生地  新 (北里大学)

この講義の目的は,人を支援するということはどういうことなのか,その際にどのような心構えや倫理上の配慮が求められるのかについて,受講者がさらに深く考えていくための基礎的な知識や材料を提供することである。最初に,人を支援するのは何のためか,支援する方法にはどのようなものがあるかについて論じる。次に,人を支援する際の倫理について,ハラスメント,多重関係,守秘義務などに分けて,具体例をあげて説明する予定である。

ワ-クショップ(W)

W1

「バウムテスト」

中島ナオミ (関西福祉科学大学)

カール・コッホによって体系化されたバウムテストは,幼児から高齢者までに適用できる投映描画法として,臨床のみならず教育・司法・産業領域などで広く利用されています。その理由は,実施法が簡単な割に得られる情報が多く,対象者のパーソナリティを理解し対応の方針を立てるのに有効だと実感されているからでしょう。今回のワークショップでは,『バウムテスト第3版』(2010)を基に実施法と解釈の基礎についてお話したいと思います。

W2

「HTPPテスト」

高橋 依子 (大阪樟蔭女子大学)

人のパーソナリティを理解して必要な援助を行うために,心理臨床場面でよく用いられる描画テストとして,家,木,人を4枚の用紙に描くHTPPテストがある。複数の課題を用いるのは,それぞれの課題がとらえやすいパーソナリティの側面が異なるからである。HTPPテストの標準的な実施法を説明し,4枚の描画を組み合わせてどのように解釈していくのかを解説する。フィードバックの仕方についても考えていきたい。

W3

「動的家族画」

橋本 秀美 (追手門学院大学)

バーンズとカウフマン(1970,1972)は,家族画に動的要素を加味した動的家族画(KFD)を確立した。それまでの静的・非動的なものに,動的要素を加えることにより力動性が示され,質・量ともに獲得情報が増加し,さらに多義的な臨床的知見が得られる新しい次元の描画法となった。さらに,ノフとプラウト(1985)は,動的家族画に動的学校画(KSD)を加えて,動的家族・学校描画システム法を開発した。これらの描画法は児童青年はもちろん,成人の臨床にも多く活用されている。本ワークショップでは,KFDの技法及び様々な分析指標を紹介し,臨床事例も紹介したい。また時間が許せばKSDについてもふれたい。受講者の皆様が今後KFDを使用される上で有用な実践と情報提供を行いたい。

W4

「心理療法場面における描画法」

寺沢英理子 (札幌学院大学)

一つの表現方法として描画法を捉え,心理療法のなかでどのように使いこなしていくのかということを学びたいと思います。心理療法に描画法を導入する見極めやタイミング,道具の選定や作品の扱い方,セラピストがクライエントに「手間」をかけることの意味とその具現化という描画法の持つ特徴についても取り上げたいと思います。ワークや事例も取り入れて,心理療法のプロセスからも上記の学びを深める予定です。

○ 9月14日(土)N2 13:30~16:50 /W5~W8 14:00~16:30

認定描画療法士研修会(N)

N2

認定描画療法士研修③
「心理面接の基礎」

松下  博 (神奈川県中央児童相談所)

心理面接は,医療・教育・司法・産業・福祉などで行われ,それぞれに面接技法が異なっています。しかし,その基本であるラポールや共感的理解や面接場面の設定(面接室・時間・面接者)や面接場面で使われている言葉について考えることは,非常に重要なことです。今回は,参加者が,日常臨床で行っている面接について再考できるように,具体的に講義する予定です。

認定描画療法士研修④
「描画による心理アセスメントの基礎」

鈴江  毅 (山陽学園大学)

描画テストと描画療法の基礎について概説した後,描画によってアセスメントできること,描画テストの種類,その選択の仕方,描画テストの解釈の方法について解説する。簡単な描画テストの実習を行い,その後,実際の使用例を,模写や再生(ベンダーゲシュタルト・テスト),絵画完成法(ワルテッグ描画テスト),課題画(樹木画テスト,人物画テスト, 家族画, HTPPテスト,S-HTP法)等について説明する。

認定描画療法士研修⑤
「描画による心理面接の基礎」

藤掛  明 (聖学院大学)

心理面接で描画を活用することは,面接の流れを汲み,また展開させるうえで非常に有益である。一方で,描画の導入の方法は多様であり,面接者の「描画」への意味づけによっても異なってくる。本講義では,心理面接の中で描画を導入する際の方法を概観するが,(1)テストとしての描画,(2)療法としての描画,(3)儀式としての描画,(4)非言語的コミュニケーションとしての描画など,幅広い観点から講義していきたい。

ワ-クショップ(W)

W5

「風景構成法」

皆藤  章 (京都大学)

1969年に生まれた風景構成法も半世紀近い歴史を積み重ねるなかで日本の臨床に着実に根づいてきている。しかし,風景構成法が臨床の場でどのように用いられているのかについては,鳥瞰的な視点からの報告もなく個々の心理臨床家の臨床的工夫によるところが多いのではないだろうか。また,風景構成法作品を理解(解釈)するパラダイムも従来の描画作品理解のパラダイムの域を超えるものではないように思われる。そこで本ワークショップでは,風景構成法表現の意味と読み取りに焦点を当てて,新たなパラダイムを模索しつつ事例研究的に風景構成法にコミットしてみたい。

W6

「なぐり描き法による心理的変容」

伊藤 俊樹 (神戸大学)

なぐり描き法と言うと,一般にはウィニコットのスクィグル法,ナウムブルグのスクリブル法が知られているが,このワークショップでは,スクィグル法の実際の事例の検討だけでなく,私が独自に行っているMess Painting法というなぐり描きの技法と事例の紹介も行いたいと思っている。また,時間的に余裕があれば,参加者にもスクィグル法,スクリブル法の体験とロールプレイを行ってもらい,心理療法の中でどのようになぐり描き法を生かしていくかについて,実践的に学んでもらうことを考えている。

W7

「コラージュ療法」

森谷 寛之 (京都文教大学)

筆者は昨年3月『コラージュ療法実践の手引き』(2012 金剛出版)を出版できた。本書をもとにコラージュ療法の歴史的な由来や基礎理論を解説する。簡単な方法であるので,誤解され伝わることが多かったが,それを訂正したい。  1993年に私が命名したボックス法は,心理臨床家しか思いつかない心理臨床特有の重要な方法であることを知ってほしい。実習も行うので,切り抜いてもよい雑誌数冊やパンフレットと糊,はさみを持参してほしい。

W8

「学校臨床場面で使える
描画ワークシートによる支援」

市来百合子 (奈良教育大学)

*タイトルが変更されましたが,ワークショップの内容は変更前と同じです。

学校臨床の様々な場面で,アセスメントと支援の2つの機能を持つ描画ワークシートを学校教員とともに開発してきた。当日は,学校に描画を導入する利点と留意点について述べ,保健室登校や特別支援学級,あるいはスクールカウンセリング場面などで,個別あるいは集団に対してどのように,そのワークシートが適用かについて説明する。ワークショップでは参加者には体験してもらう他,学校教員によってケースを提示していただく予定である。

* 認定描画療法士研修会(N)は資格認定のための研修会ですが,どなたも好きなNとWを自由に組み合わせることができます。
ただし資格取得を希望される方は,必ずN1とN2を受講してください。
なお,この資格取得については研修に関する免除規定があります。詳細は学会HPをご覧ください。

 

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