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ご挨拶

本学会の第25回大会は、東京の北部に位置する豊島区西巣鴨の大正大学で開催されることになりました。私は、大正大学で臨床心理学の教育に携わっております森岡由起子と申します。今回、大会長を仰せつかりましたが、皆様が心地よく学会に参加できますように私なりに力を尽くしたいと思っております。ただ、生来、粗忽者でございますので至らぬところも多いかと存じます。あらかじめ、ご容赦をお願い申し上げます。私が、この学会とご縁ができましたのは、この学会が、家族画研究会から名前を変えた後のことで、1990年代の半ば頃だったと思います。現在も常任理事をしていらっしゃる石川元先生が、私を通じて、本学会を山形で開くことを当時の山形大学精神神経医学講座の十束支朗教授に依頼されたことがご縁の始まりでした。十束先生は、3年前に逝去されましたが、空の上で、この学会の発展を喜んでいらっしゃると思います。

 今回の学会は、描画の治療的な側面に焦点をあてたいと考えまして、大会のテーマは、「人を癒やすものとしての描画」といたしました。特別講演では、新宮一成先生に「造形と精神分析」をテーマとして、先生の長年の研究と臨床経験に裏付けられたお話しをして頂くことになりました。本学会会長の高橋依子先生にも「心理臨床における描画の可能性」について教育講演をお願いしております。本学会を導いてこられた2人の先生のお話しを聞くことは、きっと会員の皆様にとって、ご自分の仕事の意味を再確認し、そしてそこに新しい光があたる体験になると思います。シンポジウムは、「自己治癒の営みとしての描画」というテーマで行います。自発的な描画にしても、治療という設定の中で行われる描画にしても、描くこと、それ自体がその人の心を癒やすという側面があります。「少年時代、寺に預けられた雪舟が絵ばかり描いていて罰として柱に縛られた時に涙で鼠を描いた」という逸話(多分、後世作られたお話しでしょう)のように、人に見せる意図ではなく、自分の心を癒やすために描かれる絵があるだろうと思います。しかし、絵を描く様子を見守ってもらったり、その絵を後で人に見てもらったりすることや、絵について語りあうことも、描画の治療的な働きの大切な要素でしょう。今回は、優れた臨床家である木谷秀勝先生と寺沢英理子先生のお二人と精神科患者さん達の造形教室に関わってきた方(交渉中です)を話題提供者としてお招きして、そうした点について語り合って頂きたいと思っております。懇親会は、大学の5号館の8階にある鴨台食堂(おうだいじきどう)で行います。プリンス・ホテルがプロデュースしているレストランで、大学のキャンパス内のお店としてはおしゃれなレストランです。東京タワーと東京スカイツリーの両方を見ることができます。

 今年は、大学の事情で、金曜と土曜(9月4日~5日)の開催ですので、ご注意下さい。大正大学の近くは、「おばあちゃんの原宿」巣鴨地蔵通商店街や江戸の花見の名所「飛鳥山」、それにホームに居酒屋や茶店のある都電荒川線「庚申塚駅」などがあり、江戸情緒や昭和の風景が残されている街です。9月初旬は、まだ暑さの残る時期と思いますが、多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております。

大会長 森岡由起子(大正大学)

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